『アメリカの大学での集大成:Senior Capstoneって何?』

こんにちは。アメリカの大学に留学するとどこの学校でも4年生で必修とされている「Senior Capstone」というものがあります。大学4年間での集大成の授業とされているSenior Capstoneですがその内容とはどのようなものなのでしょうか。詳しく見ていきましょう。
 

 

Senior Capstoneとは

結論から言うとSenior Capstone(以下Capstoneと呼ぶ)とは日本で言う「卒論」の授業です。ただし卒論のように研究成果を論文にすることだけでなく、プロジェクトなど様々な形で大学で学んだ学問の集大成を学部の教授に示すことになります。
Capstoneとは石や壁の上にあって蓋をしている石のことを指し、そこから4年間の様々な活動の集大成としての「石=プロジェクト」という意味へと転じました。 Capstoneの様々な形態 * 研究に基づいた論文 * アート系分野の自分でデザインした作品(絵画、服、陶器、映画、小説など) * 自作した電子機器系の作品(ロボット、コンピューターソフト・アプリなど) * 教育専攻の教育実習と経験に基づいたレポート * 言語専攻の本・漫画の翻訳 * 他
上記に紹介したプロジェクトはCapstoneプロジェクトの一例です。Capstoneのプロジェクトは学生側にある程度のフォーマットの自由さが与えられる場合がほとんどです。まれにフォーマットの指定が厳しいものもあります。

Capstoneで評価される能力

Capstoneプロジェクトで教授陣が特に重視している能力がCritical Thinking(批判的思考力)と呼ばれる客観的に物事を判断し、本質を捉える能力です。リサーチに基づいた論文であれば、「なぜこのような実験結果がもたらされたのか」や「どのようにして作品・プロダクトが生成されたのか」など、答えのないものを導く過程に関する説明を教授たちに深く求められます。 Capstoneのプロジェクトは就職活動に影響するのか 実際にCapstoneで作成した論文やプロジェクトは就職活動の際に役に立つかというとイエスandノーです。 どういうことかというと、実際に目に見える作品が作れるもの、例えばcompuser science専攻の学生が自分で作成したアプリなどは、エンジニアとしての能力を証明するものになるので、企業側も評価がしやすく就職活動に大いに役に立ちます。
一方、論文など、学術系の作品は研究職になるのなら話は別ですが、一般企業が就職活動の際の評価の対象になるかと言われればそこまでは評価されません。論文のデータなどは人事の人の専門外であることも多く、可視化された実績として評価しにくいからです。だからと言ってリサーチや論文は自分のCritical Thinkingの能力を証明する一つのツールになることは間違いなく、全く役に立たないかと言われたらそうではありません。

Capstoneプロジェクトの際に大事なこと

プロジェクトを行う際にとても大事なことは、事前に教授に題材に関して相談することです。 「教授を自分のプロジェクトでアッと驚かせてやりたい」と思って最後まで自分のプロジェクトを内緒にしておきたいと思う人もいるかもしれませんが、Capstoneは長期間かけて行うプロジェクトであり、やり直しが効かないものと言っても過言ではありません。そのため必ず事前に自分の思い描いているプロジェクトを簡潔に教授に説明して、主旨に沿っているか確認することが大事です。教授はプロジェクトを遂行するにあたっての方法をとても重視しますので、きちんとプロジェクトの核(プロジェクトの意義や目的、方法など)となる部分を決めてから相談しましょう。

まとめ

* Senior Capstoneとはアメリカの大学の4年間の集大成を表すプロジェクトで、その形態は論文から作品まで様々である * Capstoneで教授たちは学生のCritical Thinkingをプロジェクトを通して評価する * Capstoneは必ずしも就職活動で企業側に評価されないが、自分の4年間学んできたものの証明でありCritical Thinking能力を示すものにもなる * 事前に題材に関しては教授に説明をし趣旨に沿っているか確認する いかがでしたか。Capstoneは自分で自由に決められる部分も多い反面、題材から方法まで慎重に選ばなければいけません。4年間の集大成を示すためにも期間に余裕を持って取り組みましょう。 ではまた。
 
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