『アメリカで就職しやすい専攻とは』
こんにちは。アメリカで将来働いてみたい。自分の力が海外で通用するか試してみたい。アメリカの留学で得た経験を日本ではなく現地の環境で使ってみたい。アメリカの職場環境が自分には合いそうだ。などなど。
グローバル化が進む現代では海外で、特に世界経済の中心地であるアメリカで働きたいと思うのはごく自然のことでしょう。
しかし、ご存知の方も多いようにアメリカで就労ビザを取ることは9.11以降とても難しくなっています。不可能ではありませんが、適切な「選択」は必要になります。
今回の記事ではアメリカで就職する方法とそれに伴う適切な「選択」というテーマでお話ししていきたいと思います。
アメリカで就労ビザをとるつもりならSTEMを選べ!
「STEM」という言葉をご存知でしょうか?STEMとはScience、Technology、 Engineering、Mathematicsの頭文字をとったものでいわゆる理系と呼ばれる分野です。アメリカに留学し自分の専攻を選ぶ際にはこの4つの分野の先攻を選ぶべきというのがここでの主題です。
ではなぜSTEMを専攻すべきなのか?
それはOPT(Optional Practical Training)と呼ばれる学位留学を終えた留学生が学生ビザの身分で働ける制度上で、STEMを専攻している学生の方が働ける期間が長いからです。
アメリカ政府もグローバル化と情報産業・テクノロジー産業の分野の発展によってさらなる理系人材の確保に必死であり、他国からの優秀な学生の力を借りてより良い発展を目指しています。
そのためSTEM専攻以外の専攻と学位で卒業した留学生へは最大1年間、STEM専攻への学生へは最大3年間のOPT下で就労できる権利を与えています。この2年の差はとても大きくOPT下で3年間の期間があれば、留学生も己の力をアピールしやすく、次のステップとして就労ビザの取得がしやすいのです。
一方でSTEM以外の分野では1年間しか就労できませんので、1年目の「ペーペー」の時期しかアピール期間がないので雇用主に自分のポテンシャル・能力を示すという点でとても不利です。
これが最大にして最重要なSTEM専攻にすべき理由です。OPTの制度に関してもっと詳しく知りたい方はこちらから。
それでも他の専攻を選びたいならダブルメジャーにすべき
もちろんアメリカで就職することだけがゴールではないですし選択肢は他にもたくさんあります。しかし、もし留学する前の段階で少しでも現地就職を考えているのであれば、STEM以外の専攻を希望する場合でもSTEMの専攻とのダブルメジャーにすべきです。
ダブルメジャーにすることは珍しいわけではありませんが、STEMとそれ以外の専攻でのダブルメジャーになりますと、履修しなければいけない授業も必然的に多くなってきますので相当な覚悟が必要です。
ダブルメジャーについて詳しく知りたい方はこちらから。
OPT後のH-1 Bビザ(就労ビザ)の取得条件
上記で紹介した学位留学後のOPTで就労したのち(STEM専攻と仮定して3年間)、晴れてようやく就労ビザ、一般的にはH-1 Bビザを取得します。
H-1B ビザは取得後はまず3年間の就労が認められさらに3年間の追加での就労が可能です。
このH1-Bビザは大変人気で、世界中の優秀な留学生が皆応募するため、アメリカ政府は1年間に発行するH1-Bビザの数に制限を設けています。国内のアメリカ人への雇用を守るためです。
2019年現在、この人数制限(これをH-1 B Capと呼びます)はアメリカの大学院で修士または博士課程を持っている留学生20,000人分のビザの枠、学士のみを持っている人に85,000のビザの枠を用意しています。
さらにこの85,000の枠のうち、6,800枠は国の相互条約からチリとシンガポール出身の学生のために用意されています。つまり日本からの留学生で学士のみを持っている方は78,200枠を(85,000-6,800=78,200)他の留学生と争うわけです。
この制限数まで毎年到達しており、申し込みをした留学生の中から抽選になります。抽選は修士以上の学位を持っている学生を対象にした方を先に行い、20,000の枠を抽選します。
修士以上の学位を持っている学生の中で、この20,000の枠に落ちた人は次の学士以上の枠に応募することができるので、チャンスが最大2回あります。学士のみを持っている方は78,200の枠の抽選のみとなっております。
付け加えるならば、このH-1 Bのビザを申請するのに雇用主が移民弁護士まで雇って手続きを行わなければならないため、費用のことはもちろんのこと雇用主側への負担が大きいのです。こういった条件のためSTEM専攻でのOPTを3年間有効活用して、雇用主に絶対に雇いたい人材だと思わせることができなければ、H-1 Bビザを取得することはそもそも厳しいのです。
ここまで読むと就労ビザの取得の難しさと、STEM専攻を選ぶことの大事さが伝わったかと思います。留学する前の段階でここまで考えて留学することは中々大変ではありますが、ダブルメジャーにする場合などは計画的に授業を履修しなければならないので、できる限り情報を集めて自分のやりたいこと、方向性を早めに見つけるよう努めたいものです。
まとめ
STEMとはScience、Technology、Engineering、Mathematicsの頭文字をとったもので理系分野の学問領域を指す
STEM専攻で学位をとるとOPTで最大3年間働ける
アメリカで就労ビザ(H-1 Bビザ)を取得するためにはSTEM分野を専攻して3年間OPTを使って働き、雇用主にH1-Bビザのスポンサーになってくれるよう実力を証明する
現地就職を目指し、かつSTEM分野以外の専攻を学ぶ場合、STEM分野とのダブルメジャーも視野に入れる方が良い
いかがでしたか。専攻とは本来自分の好きな分野を選ぶべきもので、それが就職の際に役立つものではありますが、アメリカの現在のルールだとSTEM分野の専攻を視野に入れた方が現地就職に有利というアドバンテージがあるので悩ましいところです。
留学を志す以上、現地での就職ももちろん1つの選択肢として熟考するべきで、早めに決めて余裕のもったスケジュールを組むためにも、情報を集め渡米以前に方向性を決めておきましょう。
ではまた。
Amerism