『アメリカの大学の必須科目である一般教養(General Education)とは』
こんにちは。アメリカの大学では自分の学びたい分野である「専攻」を決め、その専攻に必要な授業を履修していきます。同時に日本の大学と同じように一般教養=General Education(ジェネなんて言い方もします)のクラスも取らなければいけません。今回はそんな一般教養のクラスについて解説していきます。
General Educationのコア分野
どの大学でも見られるGeneral Educationのコア(核)となる分野は以下のとおりです。
・Language
・Math
・Art
・Social Science
・Natural Science
【Language】
私たち留学生は入学の時点で英語という第二言語を学んでいるため第二言語のクラスを取る必要はありませんが、アメリカの学生は大学が提供する言語から1つを選びその言語を2クラス分必修として取ります。提供される言語はドイツ語、フランス語、スペイン語、中国語、日本語、ロシア語、アメリカ手話などです。
例えばドイツ語を選んだ学生はGerman 101とGerman 102というドイツ語の初級クラスを2つとることになります。高校などで学んでいて既にその言語の力が十分ついているとみなされればアメリカの学生でもLanguageの必修を免除してもらえることもあります。
【Math】
数学のクラスも代表的な必修のクラスです。特に日本人にはあまり馴染みがないかもしれませんが、Statistics(統計学)やData Analysis(データ分析)のクラスが必修になることがほとんどです。データを分析する能力は企業に入った時や研究者になった場合などとても必要な能力のため必修化されています。アメリカでは中学、高校とデータ分析が義務教育に組み込まれています。最初は難しく感じるかもしれませんが、日本の高校生の数学はアメリカのものよりもかなりレベルが高いので、慣れるとそんなに苦に感じないという人がほとんどです。
Mathの必修のクラスは入学前(または入学してすぐ)に受けさせられる数学のテストの成績によって左右されます。このテストで成績が良いと数学の必修科目が免除されることもあります。
【Art】
アートのクラスもまたアメリカの大学での必修とされ、デッサンやアートの歴史、陶芸など様々なアート分野から選べます。1年目は講義のクラスが多い中、何か作品を作ることで単位を貰えるアートは息抜きにもなることでしょう。アートは1クラス分が必修になることが多いです。
Social Science
経済学(Economics)、歴史(History)、人類学(Anthropology)、地理学(Geography)、政治学(Politics)など日本で言う文系教科が主にSocial Scienceに分類されます。とは言えEconomicsなどでは数学の要素もたくさん混じっていますのでSocial Scienceという呼び名は正しいでしょう。2、3クラスはSocial Scienceから必修とされます。
Natural Science
直訳すると自然科学であるNatural Scienceはいわゆる理系分野の教科で物理学(Physics)、生物学(Biology)、地質学(Geology)、化学(Chemistory)の4つの領域のクラスを1つづつ選ぶことが一般的です。
つまり4クラス(3単位制であれば12単位分)は理系分野のクラスが必修とされています。
さらにLabと呼ばれる実験が取り入れられているクラスも1つ選ぶ必要があります。Labのクラスは講義よりも実験がメインなので実験と実験後のレポートが成績の大半を占めている一方、Labがないクラスだと講義中心になるのでテストやクイズなどが成績の多くを占めます。
・物理学には物理学(Physics)を始め、工学(Engineering)、光学(Optics)、天文学(Astronomy)、熱力学(Thermodynamics)などが含まれる
・生物学には生物学(Biology)を始め植物学(Botany)、動物学(Zoology)、解剖学(Anatomy)、分子生物学(Molecular Biology)などが含まれる
・地質学には地質学(Geology)を始めOceanography(海洋学)、Sedimentology(堆積学)、Palaeontology(古生物学)などが含まれる
・化学には化学(Chemistry)を始めOrganic Chemistry(有機化学)、Biochemistry(生化学)、Physical Chemistry(物理化学)などが含まれる
理系分野への理解はアメリカの教育のトレンドなので、理系分野がこれだけ必修となっているのも納得です。あなたが理系専攻なら多くのクラスが必修科目にかぶっているので重複して取らなくて良くなります。
1年次に受けるFirst Year Seminarと4年次に受けるSenior Capstoneとは
アメリカの大学での一般教養は上記にあげたコア分野だけでなく、1年生(Freshman)に履修するFirst Year Seminarと4年生(Senior)に履修するSenior Capstoneがあります。
First Year Seminarとは文字通り1年生に受ける授業で基本的にはFall Semester(秋学期)に受講します。これは4年間の大学生活に必要不可欠のクリティカルシンキングや基本的なライティング、プレゼンテーションの仕方を少数のクラスで学びます。新入生の留学生はこのクラスでアメリカの大学授業の方式や必須であるプレゼンテーションスキルなども学ぶことができます。
これに対してSenior Capstoneとはいわゆる4年生(Senior)が4年間の集大成として履修するクラスで学部によって内容は違うものの、大量の(アカデミック)ペーパーがあります。これは日本の大学の卒論にあたります。論文の他にも、作品やプロジェクトの作成、インターンシップなどもありますが、どちらにせよ準備や完成までに多くの時間がかかるものを要求されます。
Senior Capstoneに関する詳しい内容はこちらから。
大学1、2年生のうちはGeneral Educationをたくさん履修せよ
他の記事でも述べていますが、大学1、2年生のうちはとにかく必修であるGeneral Educationのクラスをできるだけ履修してください。なぜならGeneral Educationのクラスは他の大学でも単位に認められることが多く、仮に別の大学に編入したくなった場合でもできる限り多くの単位を変換することができるからです。
アメリカの大学での編入に関する詳しい内容はこちらから。
まとめ
・General Educationにはコア分野と呼ばれる一般教科(Language、Math、Art、Social Science、Natural Science)と1年生で履修するFirst Year Seminar、4年生で履修するSenior Capstoneがある
・大学1、2年生のうちはGeneral Educationのクラスをたくさん履修する
いかがでしたか。アメリカの大学の必修科目であるGeneral Educationについて理解を深めるることができたのではないでしょうか。
最初は必修科目が多いなと感じるかもしれませんが、必修科目のクラスは同期として入った他のFreshmanの生徒もたくさんいるため友達を作りやすいクラスで、これを好機と考えて是非楽しんで授業を受けてみてください。
ではまた。
Amerism