『どうしたらアメリカで教員免許を取れるの?アメリカの教育専攻とは』

こんにちは。日本の大学を卒業した人の中で教員免許を持っている人は多いのではないでしょうか。 教員志望の人はもちろん、大学を卒業した後の進路が決まっていないので念のため教職課程を取る人など。 アメリカにも教職課程があり教員免許がありますが、ではそのプロセスは日本の大学のものと同じなのでしょうか。今回はそんなアメリカでの教職課程を経ての教員免許の取り方を含めたアメリカの大学での教育専攻について解説していきたいと思います。

アメリカの教職課程は長い道のり

アメリカでの教職課程を終えるには多くの場合4年間みっちり主専攻(Major)を学ぶ必要があります。それに加えて自分の教えたい教科の分野のクラスも多く取る必要があるので、例えば2年間で教職課程を終えることができるということはありません
下記にAさんの1年目から4年目までの教育専攻(Education Major)の履修スケジュールの例を示しました。Aさんは数学の先生になりたいと思っていると仮定します。卒業に必要な単位は120単位(多くの場合120〜130単位)としてシュミレーションします。
数学の教員になりたい場合は専攻である教育の分野と数学の分野でも多くのクラスを取る必要があります。1年目、Freshman(大学1年生)の時には、General Educationと呼ばれる一般教養の授業を取るのがセオリーです。一般教養の単位は他の大学に編入したくなった際の単位変換がしやすいからです。留学生の場合、1年目は5クラス×3単位=15単位くらいを各セメスター取るようにすると、多すぎず少なすぎずの履修量となるでしょう。
どこの大学でもForeign Language(外国語)の授業を最低でも2クラス履修するように設定していることがほとんどですが、留学生はすでに英語という第二言語を学んでいるためForeign Langaugeは必修科目から外すことができます
教育の授業では必ず最終学期に1学期間まるまるStudent Teachingといわれる、いわゆる教育実習の時間に当てられます。日本の大学の教職課程の場合、教育実習は2週間くらいですがアメリカの場合14、15週間ほどあり現場での経験を在学中に多く積めるという点で強みです。

大学卒業後から教員免許をもらうまでの過程

上記のようなハードな4年間の大学生活を終えてようやく教員免許を取得することができるわけですが、教員免許取得の条件は教職課程終了と大学の卒業だけではありません。
以下が主な教員免許の取得の条件です。
    ・General Education Test
    ・Specific Subject Area Test
    ・Professional Teaching Examination
どこの州に留学しても、州の教育省(Department of Education)はこのような3つのテストの合格を課しています。これらのテストは大学在学中に受けるべきテストで、全てを卒業までに合格しておくと就職活動がスムーズになります
ひとつめのGeneral Education Testとは一般教養のテストで多くの場合、教職課程に進む前(sophomore前)までに受けて合格するように促されます。これに合格しないと教職課程には進めません。  
次に自分の教えたい教科(Aさんの場合は数学)のテストがあります。自分の専門的な分野であるためその分野の深ぼりした問題が与えられます。
最後に卒業前に合格しておくべき(Seniorの間)教育論に関するテストがあります。
これらのテストに加えて犯罪歴がないなどのバックグラウンドチェックも要件となります。教員免許状のための費用を払うと郵送で数週間後に教員免許が送られてきます。教員免許は5年ごとに更新する必要があります。
 

 

アメリカで先生になるための就職活動

 
Seniorの最後の学期の教育実習をしている間に教育専攻の学生は就職活動を始めます。4年できっちり卒業する場合Spring Semesterが最終学期となり、この時期にアメリカの公立・私立の学校は来年度のための空いている先生のポジションをインターネットなどを通じて募集します(日本の中途採用のような感じです)。
この時点で全ての必須のテストを合格しており、あとは卒業するだけとなると面接先の学校からの評価も上がりやすくなるでしょう。逆にテストに全て受かっていないと、まだ教員免許を取れるかどうかもわからないため学校側に採用させることを躊躇させてしまいます。 晴れて採用が決まったら、翌年度(8月)から新米教師として仕事を始めることができるのです。
もし自分の教員免許をとった州とは違う州の学校で働きたい場合は、その州から1年間の仮教員免許を発行してもらい1年目はその仮免許を持って働きます。その後、2年目以降にその州の正式な教員免許が発行されるという形です。
 

 

おまけ:アメリカの教員の待遇  

アメリカの教員の待遇は州によりますが、安定していて良い待遇と言えるのではないでしょうか。各種保険年金制度もきちんとしていますし、毎週プレミアムフライデー(午後3時上がり)という学校も多いです。
部活動も外部からまたは先生以外の学校のスタッフが副業程度に部活の顧問をしてくれるので、各教師がひとつずつ部活の顧問をしなければいけないといったしきたりもありません。アメリカの学校の部活がシーズン制で、各部活は1学期分だけ活動するためです。そのためそこまでの人員も必要ではないのです。
さらに良いことはアメリカの学校の夏休みは長いので(6月から8月上旬まで)、先生も同様にお休みを長く取れます。1年間の決まったお給料を12ヶ月で割っているため夏休みの間もお給料は入ってきます。都会と田舎、州によって平均給与が大きく変わってくるので自分にあった条件の州や学校を選びたいものです。

  


 

まとめ  

    ・教員免許取得には大学卒業だけでなく3つほどのテスト、教職課程の履修、犯罪歴がないことなども必要
    ・課されるテストは全て卒業までに合格しておくと教員への就職活動がスムーズである
    ・他の州で働く場合、1年目は仮の教員免許を発行してもらい、2年目以降にその州の本当の教員免許を発行してもらえる
    ・教員免許の更新は5年に1度
    ・教員の待遇は州によってまちまちだが、平均的に福利厚生などは良く安定している
 
いかがだったでしょうか。アメリカで先生になるプロセスは日本のものと多少違うところもあり興味深いです。教育分野に興味があってアメリカへの留学を考えている人に少しでもこの記事が役に立ったら幸いです。
ではまた。
 
Amerism