『アメリカの自動車保険のシステム』
こんにちは。アメリカに行ったら車を買って延々と伸びるハイウェイをドライブしたい。田舎に住む予定なので車は必須だ。など、アメリカに留学したら車を持つかどうか考えることと思います。もし車を持つのであれば保険に入りたいけど、なんだか自動車保険のことがよくわからない等、アメリカの保険事情は日本のものとは多少違います。今回はアメリカの自動車保険について解説していこうと思います。
自動車保険がないと車を州に登録できない
アメリカでは自動車保険を持つことは義務です。正確には50州ある中のNew Hampshire(ニューハンプシャー州)以外では義務化されています。
New Hampshireでは自動車保険加入は加入を強く促していますが、何か事故が起こった時などを想定して十二分な財産を持っていてそれを証明することができれば自動車保険に加入しなくても良いのです。とはいえこれは特例中の特例なのでアメリカでは自動車保険の加入は義務と呼ぶことができるでしょう。
そして自動車保険に入っていないと、例え車を中古で友人から買ったり新車でディーラーから買ったりしても車を州に登録することができないのです。
ナンバープレート(アメリカではLisence Plateと呼ぶ)や自動車登録証(Registration)と呼ばれる毎年税金を払っている証明になる登録シールがもらえないのです。もし警察に捕まった時に罰金を払わなければいけなくなりますし、ましてや保険に加入していないということは事故が起こった時に多額のお金を支払う必要が出てくるので自動車保険の加入義務化は必然的であるといえます。
州によって加入義務とされている保険の最低補償額は違う
「加入義務とされている保険の最低補償額が違う」とはどういうことかを説明する前に義務とされている保険の内容について詳しく見ていきます。
1. Bodily Injury Liability
2. Property Damage Liability
1.Bodily Injury Liability
いわゆる「対人」への保険であり事故が起こった時、巻き込まれた相手への損害を補償してくれる保険です。この場合の保険料というのは相手1人あたりへの最大補償額です。
2.Property Damage Liability
それに対して「対物」への保険で、相手の車を傷つけてしまった、人の家のガレージにぶつかって破損してしまったなど、相手の物に対する最大補償額を示しています。これはあなたに対する補償ではなく、あなたが責任を負う相手へ対する保険です。
これら2つのLiability保証が義務化されているということです。
保険に加入時には、保険のカードには20/40/15 などと表記されます。これは
$20,000まで1人あたりのBodily Injuryを補償してくれる(対人) $40,000まで1つの事故あたりのBodily Injuryを補償してくれる(対人) $15,000まで1つの事故あたりのProperty Damageを補償してくれる(対物)
ということを表しており、この3つの数字の最低加入義務補償額が州によって違うということです。←これが見出しの説明
と見出しの説明をするまでに多少長くなってしまいましたが、「対人(1人あたり)/対人(事故1件あたり)/対物(事故1件あたり)」の最低数値が住む州によって違うと覚えていだたければと思います。
義務化ではないが入るべき補償内容
保険には義務化されている、2つのLiability (Bodily InjuryとProperty Damage)の他にも、強制ではないが加入しておいたほうが良いオプションがあります。
それは、 Personal Injury Protection、Uninsured/Underinsured Motorist Protectionと、Collusion、そしてRoadside Serviceです。
一つづつ見ていきましょう。
Personal Injury Protection
まずはPersonal Injury Protectionですが、これは自分や同乗者が巻き込まれた事故による健康への被害に対して補償してくれる保険です。
自分の「過失」で事故を起こしてしまった場合でもPersona Injury Protectionは自分と同乗者に支払ってくれます。例えば、衝突事故が起こり首を痛めてしまったため、マッサージ・整骨院に行って治療してもらうための費用。さらに、事故による怪我で仕事にしばらくいけなくなり収入が減ってしまった、事故で亡くなった方がいてそのお葬式費用等も含まれます。
Uninsured/Underinsured Motorist Protection
通常事故が起こると通常自分の保険会社が相手への補償をし、相手側の保険会社が自分への補償をしてくれます。その際事故に関与している(過失がある)相手のドライバーが保険に入っておらず、相手の実費でも事故にかかる費用を補填できなかった場合、自分のポケットマネーから泣き寝入りしなければならないことがあります。この際に泣き寝入りを防いでくれる補償というのがUninsured/Underinsured Motorist Protectionいうわけです。
この補償は全ての州で加入が義務化されている訳ではありませんが、義務化している州もありますし、例え義務化されていなくても、万が一の際の砦として入っておくことをオススメします。
Collision
自分の車のダメージに対する補償です。上記で説明したProperty Damage Liabilityが相手への対物補償で義務化されているのに対して、Collisionは自分の車への補償なので義務化はされていません。他の車からの衝突(相手の保険で補填できない場合)、フェンスが外れて車に当たった等の場合、Collisionの補償が適応されます。こちらも入っておくべきでしょう。
Roadside Service
ガス欠や車が溝にはまってしまうなど、道路上ではいつ何時トラブルがあるかはわかりません。そういった場合に、レッカー移動やガソリン補給など道路上でのトラブル処理を手伝ってくれるサービスです。加入さえしていれば、電話一本ですぐに駆けつけてくれるので、あまり車の知識がない人や古い中古車でメンテナンスが頻繁に必要な車に乗ってる場合などは加入しておいた方が良いです。
保険料
ここからは保険料についてお話しします。ご存知の通りアメリカは合衆国であり、州によって法律が違います。自動車保険に関する法律・ルールも統一されていないことが保険料にも大きく影響します。そのため相場はわかっても、実際に住む州がわからないと正確な保険料もわからないということです。
前置きはここまでにして、Insure.comのデータを基にして、どこの州の保険料が高いかについて触れておきます。
(全文はhttps://www.insure.com/car-insurance/car-insurance-rates.htmlより抜粋)
2019年4月の時点で保険料が一番高いのがミシガン(Michigan)です。なぜかというとMIchigan州には上記で述べたPIP (Personal Injury Protection)が無制限で一生涯の補償をしてくれるからです。
PIPというと、事故に巻き込まれた人の健康被害への保険でしたね。このPIPが他の州では一定の限度額を設けてるのに対して、Michigan州では無制限なのです。
Insure.comによると6ヶ月あたり(アメリカの保険は6ヶ月更新)$2,611です。高いですね。。
次点でルイジアナ、フロリダと続きます。
ルイジアナ州(Louisiana)は保険に加入していない(違法ですが)ドライバーの数が多く、訴訟になるケースが多いため、保険料も必然的に上がっているようです。
フロリダ州(Florida)も同様に保険に加入していないドライバーが多いこと、大規模な大学の数が多く若いドライバーが多いこと、旅行者の数が多いことなども事故件数が高く、保険料が上がっている原因です。
反対に、メイン州(Maine)を筆頭とする保険料の安い州は、保険に加入しているドライバーの数が多かったり、州の中の田舎割合が多く、車同士での事故などが少ないことが影響しています。
事前に自分の住む州の自動車保険事情について知ることは車をアメリカで持つことの第一歩だと考えると良いと思います。
ちなみに、留学生の方など若い方への保険料が高額化することは日本と同じです。アメリカでは25歳を超えると保険料が少し安くなリます。
補償額に無制限がない
日本では自動車保険の保証に無制限がありますが、アメリカの自動車保険の補償額には限度があり(Michiganのケースなどを除く)、対人などで仮に人を死なせてしまった場合でも、全て保証されるわけではないのです。
そのため対人への補償額上限を上げたり、任意のアンブレラ保険への加入をオススメします。大抵の場合義務化されている最低補償額がBodily Injury Liabilityは$20,000-$30,000で(1ドル100円計算だとしても200万から300万円)、重症のケースの場合支払いをカバーすることができません。
補償額の上限は多くのの場合、対人1人あたり$300,000(1ドル100円計算で3,000万円)、事故1件あたり$500,000(1ドル100円計算で5,000万円)が限度でしょう。それでも足りないと思えば、アンブレラ保険に加入し、差額分を補填してもらうべきです。
アメリカの保険会社と現地で契約した場合、補償額に無制限なものがないので(対人)、日本の保険会社で海外への保険サポートも行なっている会社を選ぶと日本のように補償額が無制限の補償があります。
さらに現地でいざという時に英語でサポートをしてくれたり、日本にいる家族にもわかりやすく保険内容を伝えてくれるなどというメリットもあります。
まとめ
アメリカでは自動車保険の加入が義務である
義務化されている保険内容には2つある。Bodily Injury Liability(対人)とProperty Injury Liability
州によってLiabilityの最低加入義務補償額は違う
Personal Injury Protection、Uninsured/Underinsured Motorist Protection、Collision、Roadside Service等は義務ではないが加入した方が良い
保険料は州によって違い、田舎が多く、保険加入者が多い州ほど安い傾向がある
アメリカの自動車保険会社には対人の限度額があり、対人補償の無制限を選ぶなら日本の保険会社に頼むべき
いかがでしたでしょうか。自動車保険はなかなか奥が深く、州によってもプランがまちまちなので事前にきちんと調べてから加入を決めたいですね。
留学する際など、車があると行動範囲も広がりますし、便利ですがきちんと自動車保険のことまで考えてから購入しましょう。
アメリカでの車の必要性についてはこちらの記事でより詳しく解説していますのでこちらも是非。
ではまた。
Amerism